観光地が抱える「ゴミ箱問題」とは
国内外から観光客が増加している京都や沖縄などの観光地では、「ゴミ箱問題」が起こっています。具体的には、「ゴミが多すぎて回収が間に合わず、ゴミ箱のゴミが溢れてしまう」といった問題です。
当然のことながら、ゴミ箱にゴミを捨てられなくなってしまうと、ポイ捨てが増加します。その結果、周辺環境を汚したり、景観を乱したりするなど、観光地にとってはマイナスになってしまいます。
そのまま放置してしまうと、リピーターが減ったり、観光地へ行く人が少なくなったりしてしまうかもしれません。
なので、観光地にとっては、かなり深刻な問題と言えるでしょう。
街中にゴミ箱が少ない日本
日本は世界と比べて、街中にゴミ箱が少ないと言われています。
「ゴミ箱が少なければゴミ箱を増やせば、ポイ捨てとかなくなるんじゃないの?」と考える人もいるかもしれませんが、現実はそう簡単ではありません。
日本にゴミ箱が少ない理由は以下の通りです。
- 行政によるゴミ回収のペースが間に合わない
- 捨てられたゴミを回収するための人手を確保できない
- 業者に回収を依頼するお金がない
これらの理由から、なかなかゴミ箱を増やすことができません。その結果、少ないゴミ箱にゴミが集中して溢れてしまい、観光地の景観が悪くなってしまうのです。
ゴミをポイ捨てしない観光客がいたとしても、ゴミを持ち歩きながら観光することになり、観光客の負担につながってしまいます。
例えば、渡月橋で有名な京都の嵐山では一時期、観光客にゴミ袋を持ちながら観光してもらう取り組みをしていました。
しかし結局、その取り組みを定着させることはできなかったようです…
救世主?IoTを利用したスマートゴミ箱とは
そんな中、Iotを利用したスマートゴミ箱が注目されています。
Iotとは「Internet of things」の略で、「モノのインターネット」を意味します。わかりやすく言うと、「モノの情報をインターネットを通してつなぐ」こと。
Iotを利用したスマートゴミ箱とは、「インターネットを利用してゴミの蓄積状況を把握することを可能にしたゴミ箱」です。ゴミの状況を把握することで効率的なゴミの回収ができます。
また中には、ゴミがいっぱいになると圧縮する機能を持つスマートゴミ箱もあります。
それでは、スマートゴミ箱のメリットとデメリットを見ていきましょう!
スマートゴミ箱のメリット
スマートゴミ箱のメリットは、コストを削減できることです。
先ほども言った通り、スマートゴミ箱はゴミの蓄積状況をリアルタイムで把握できます。これにより、ゴミの回収を定時から溜まったタイミングに減らせます。
そして、ゴミの収集を減らすことにもつながり、コストの削減を実現することが可能です。
成功例としては、スペインのバルセロナ市が挙げられます。バルセロナ市では、巨大なゴミ箱が街にいくつか設置されており、溜まったごみを大型トラックが定期的に収集している状態でした。
しかし、大型トラックによるごみの定期的な収集は道路を塞いでしまい、渋滞を引き起こします。また、ごみが溜まっていない場合は回収が無駄足になってしまします。
そこでバルセロナ市は、スマートゴミ箱を導入しました。その結果、ごみの回収頻度を減らし、渋滞を緩和させることに成功します。
スマートゴミ箱のデメリット
スマートゴミ箱のデメリットは、普通のゴミ箱より設置に費用がかかることです。
スマートゴミ箱にはゴミの蓄積状況を知らせる機能が搭載されているので、当然普通のゴミ箱より高くなります。
また、屋外に設置する場合は、防水・防塵にも優れたものである必要があります。高額な初期費用の問題をどう解決していくのかが今後の課題です。
まとめ
この記事では、観光地のゴミ問題について解説しました。
日本の観光地には、捨てられたゴミを回収するための人手が確保できなかったり、ゴミ回収を依頼する費用がなかったりするという理由でゴミ箱が少ないです。
その結果、ゴミが溢れてしまったり、ポイ捨てが多くなったりするため、観光地の景観が悪くなってしまうという問題が起こっています。
そんな中、注目されているのがIotを利用したスマートゴミ箱です。スマートゴミ箱を利用すればゴミの蓄積状況がリアルタイムにわかり、ゴミの回収員を減らしてコストを削減できます。
ただし、導入に多くの費用がかかるというデメリットもあります。
日本での導入事例はまだまだ少ないですが、今後はスマートゴミ箱が増えていくでしょう。
観光地のゴミ箱問題が解決されるのも、そう遠い未来ではないのかもしれませんね!